就業規則改定、人事トラブル、補助金助成金の申請は、労務ドクターにご相談ください  

今回は企業秩序を乱す行為を行った従業員への『懲戒解雇』の事案を検討してみましょう。

先代から引き継いだ新社長の下、組織再編成を行い営業部の部長職に外部からの新たな役職者を採用しました。
もちろん、役職者ですから相応の報酬金額で契約を結びました。
会社としては、営業部の全権を新たな部長に託す決意での採用です。

営業は確かに、顧客との信頼関係を深める事が成績を伸ばす為には必須条件なのだと思います。しかし、信頼関係といっても業務上必要範囲内でのお話です。というのはこの営業部長、後々取引の相手先の趣味のゴルフの接待を過剰なまでに積極的に、かつ個人的に行っていたことが判明するのです。

役員会議の席で、それまで懸案であった営業部長の経費収支の実態についてメスが入れられました。営業部長の関わる取引先の売上回収状況の数値がブラックボックス化されていて社長すら十分に把握が出来ていない状況であることが取り上げられました。
当然に部長の説明責任が問われます。会社に対しての誠実義務違反が問われます。
高い報酬を支払い、結果を出す事を前提に採用した部長職です。採用時社長の営業部長に託す期待・想いには大きなものがありました。
しかし残念なことに期待にそぐわない結果となってしまっていたのです。

「懲戒解雇」の場合、「弁明の機会」と呼ばれる本人の話を聞く機会を必ず持たなければなりません。部長からは適切な返答がなされませんでした。会社はもはや信頼関係を維持することが不可能と考え、懲戒規定に照らし合わせ「懲戒解雇」を断行することに決めました。損害賠償規定も就業規則に記載されていた為に、把握できる数値については明らかにし、私人関係に絡む経費計上については本人に返済をさせる事にしました。

「懲戒解雇」の場合には、就業規則に退職金の不払い条項を記載してあれば、退職金を支給する義務を免れます。
規程類の整備を行う事によって、最悪の場合でもリスク回避できる部分はあります。
一般的に「懲戒解雇」を行う事は非常にハードルが高いと言われています。刑事上の罪に問われた場合であれば、条件としては可能ですが、実質的な損害を受けていない場合には慎重に行う必要があります。
裁判等になった場合、≪退職金を支払わない事について、社会通念として認められる程の不利益が、実質会社側にあったのか?≫に焦点が絞られることになるからです。

今回の場合も、過剰経費の要件だけでは難しかったと思われます。それに加え、使途不明という賠償問題に拡大する問題があったからこそ可能となったと言えます。
「懲戒解雇」を行う場合、就業規則に「懲戒委員会を開く」と記載してある場合には、これらの手続きを踏まないと解雇が認めらません。実態として行う事が管理されていないのであれば、会社側の手続き不備により『懲戒解雇』自体が無効となるかもしれません。
例え、本人に100%の責任があると考えられる場合であったとしても、解雇予告手当を支払う義務が会社側にはあります。
労働基準監督署からの解雇予告除外認定後でなければ解雇予告手当なしの即時解雇は出来ないからです。

まとめ・・1.≪懲戒解雇事由≫規定に懲戒解雇の行われる事由に該当する要件記載があるか 
2.≪休職命令≫規定で『本人に帰責理由がある場合には賃金は支払わない』の記載があるか 
3.≪懲戒委員会の開催≫を記載している場合、委員会は必ず行っているか 
4.≪退職金≫規定に、『懲戒解雇時の退職金不支給』の記載があるか
5.労働基準監督署の解雇予告除外認定を取らない場合、解雇予告手当を支払ったか

≪不当解雇≫と言われない様に、就業規則への記載と運用には充分注意を払いましょう。

皆様 こんにちは!  特定社会保険労務士・中小企業診断士の鷲澤充代です。
前回に引き続き『解雇』に関してお話をさせて戴きます。
今回は会社業績が悪化した場合の『整理解雇』の事案です。

先日こんな事案が有りました。
2代目の社長さんが率いるある製造業でのことです。
会社は50期を超える歴史ある企業さん。先代の社長さんはカリスマ性があり、従業員に有無を言わさずに率いていくタイプだったそうです。
勿論、厳しい?言葉づかいも日常茶飯事ですが、その指導力は絶対的なもの。
率先して行動していく後姿を見せながら、従業員はその厳しい指導の中にも各々のやるべき事を理解して付いていく状況だったとのこと。一代目の創業社長さんに良くあるタイプの方だと思います。
時代の後押しもあり、業績は右肩上がりで成長し従業員数も順調に増加して行きました。

その先代の社長さんも年を重ね、次代の後継者に事業承継を行いました。それと同じころから外部環境の変化に対応が遅れたのか、業績が右肩下がりに・・・・
結果、今期迄8期連続の赤字体質となってしまいました。

勿論、新たな事業計画書を作成し、銀行のリスケジュールを受け、利息のみを支払うという状況。
現在は、中小企業緊急雇用安定助成金と言われる従業員の雇用継続のための厚生労働省の助成金を受けつつ、従業員に休業をさせています。
経費削減のためのコスト管理を行い、交際費を削減、広告宣伝費迄も削減し、従業員の上位役職者の給与も2割カット。
これらのコストカットと業務の改善を行い、効率的な企業運営を目指したのですが、業界自体のπは狭くなる一方で、
売り上げは低迷し、目に見える改善はなされません。
このままの状態が続けば、会社の先行きが非常に厳しい事は容易に判断できます。
現状では、従業員の人件費が固定費として非常に重くのしかかる状況になってしまっているのです。

会社としては、これ以上の体力は正直ありません。
資金繰りが逼迫し、何らかの手を打たなければ、会社自体が全ての従業員を抱えたまま、沈んでしまう事にもなりかねない、そのような状況です。

ここで、会社は苦渋の選択を行いました。
会社の存続の為に、敢えて数名の方に退職を願うこと。いわゆる整理解雇を行う事を決断しました。
それ以外に会社の未来はないと判断したのです。

整理解雇を行う場合には、注意すべき事があります。
人を切るのは聖域であり、つまり最後であるべき。それ以前に雇用存続の為にあらゆる手を打つことが求められます。いわゆる、≪整理解雇の4要素≫と言われているものです。
その4つの要素とは・・
1.人を辞めさせなければいけない程、事業が逼迫しているのか ≪人員整理の必要性≫
2.人を辞めさせる前にあらゆる手を打ったのか ≪解雇回避努力≫
3.その辞めさせる人を選んだ合理的な理由があるのか ≪被解雇者選定の合理性≫
4.従業員の理解を求める為に充分な対応を行ったか ≪解雇手続きの妥当性≫  です。

今回の事案の場合1の会社業績、及び2に関しては充分に会社として事前に手を打ってきていたため問題になる事はありませんでしたが、選んだ対象者A氏が、『会社の放漫経営に関して従業員すべてに詫びを入れてくれ』との条件を出してきました。
『自分は会社の犠牲となるので、書面で詫び状を残してくれ』との依頼です。

今回の解雇対象となったA氏は、弁が立つために、従来からその上長役職者も彼の管理には苦労をしていました。
ライン生産に従事しており、他のラインへの応援変更にも『腰痛があるから』という個人的な理由を押し通し、上長の指示に反論し、柔軟な人員の異動に対応をしてくれない方でした。
さらに、感情的になりしばしば他の人とも衝突することがある方。
会社側から見れば会社秩序を乱す人であり、対象者にその方を選んだ合理性は十分にあります。

しかも今回は会社の経営判断からライン自体が統廃合され、従来A氏が従事してきたラインが無くなったのです。
中小企業であれば、新たにその方を雇用する為の部署を設ける事は困難な事であり、3においても決して問題はないと思われます。

企業秩序を乱すという点から、繰り返し対峙して指導を行い、反省文などを書かせる懲戒処分を行っていれば≪整理解雇≫と共に≪普通解雇≫の要件での解雇を行う事が可能でしたが、私が関与した時には、長年そのような資料作りを行ってきていない状況でした。
代表者の方に『資料を作り、普通解雇の要件でも対応可能である事』を薦めましたが、今回は一本で行きたいとのはっきりとした意向が有り、最終的に整理解雇での対応となりました。

例え4要素の4つ目で、充分な対応を取るべきとしても、会社としてはA氏の依頼を飲むことは出来ません。
後々不当解雇での民事上の争いが生じた場合、その証拠として使われる可能性が高いからです。
何回かの交渉の後、退職勧奨 ≪条件を上積みする事で退職届を提出してもらう事≫ には結局応じなかったのですが、会社は上乗せ条件として誠意を示し、本来解雇の場合は支払わない有給休暇を買い取り、解雇予告手当とともに現金で手渡しました。
この時、本人の署名、捺印をした受領証はしっかりと貰う事が大切です。
解雇について解雇予告手当の支払いがなされていれば、例え元従業員に労働基準監督署へ駈け込まれても労働基準法上は法にのっとっている為、何らお咎めはありません。同時に本人が解雇を認めたことの証拠にもなりますから。

その方が辞めてやがて2ヶ月、まだ安心はできません。どんなに十分に対応したと思っていても、不当解雇での民事の争いが起こらないとは言い切れないのです。これが解雇のリスクと言えます。

皆様 こんにちは!  特定社会保険労務士・中小企業診断士の鷲澤充代です。
今回から3回に渡り、解雇についてのお話をさせて戴きます。

先日こんな事案が有りました。
中途採用の新入社員の方の3ヶ月の試用期間も終わろうという頃、会社の常務さんから次のような問い合わせを戴きました。
『彼女に任せている仕事は、ダイレクトメールの発送や手紙の作成等、いわゆる一般事務の範囲ですがミスが多く、業務に支障が出ています。
さらに、周りの人間がそのフォローに入る為、二度手間になるばかりか、周りの人の業務の進捗にも差し障りが出る状況です。試用期間が終わるこの時期に辞めさせたいと思っているのですが。』とのお話でした。

中途採用で、前職もなかなか有名な企業。
『採用の面談時には、少しおっとりしているものの、しっかりと自分の意見も述べ、問題は特に感じなかった。』とのこと。
しかし、実際に業務に就いたところ、その性格も手伝ってなかなか進捗がはかどらない。
さらに、事務職としてはその適合性に決定的に問題を感じさせる≪ミスが多い≫という状況。

確かに、常務さんのその気持ちも良くわかります。

人は使ってみなければ、その人の本当の実力は解りません。
しかし、採用したのは会社の責任。その人を教育して会社に適合する人間へと変えていかなくてはなりません。
それが会社に課せられた責任でもあります。

たとえ試用期間であっても、14日を過ぎれば解雇予告手当が必要になる、つまり立派な『解雇』になってしまうのが現在の労働基準法の決まりごとです。
逆に、14日以内での解雇は30日前の解雇予告が必要ない即時解雇が認められていて、例え労働基準監督署へその従業員さんが駆け込んだとしても、あまり問題になる事はないと思われます。
『明日から来なくていい!』発言が出来るのは14日目までということです。

今回の場合、最初の契約を3ヶ月の試用期間として、別枠で期間を定める契約としていなかった事も、リスクヘッジが出来ていなかった点と言えます。

新人さんの場合、その人の真の実力や性格、自社の配属先の業務に向いているか否かの判断を数回の面接だけで判断するのは至難の業。
採用する時に解雇のリスクを減らす為の対応策を打っておく必要もあります。
つまり、試用期間を2ヶ月、または3ヶ月等と期間を定めて雇用契約書で期間を区切れば、その期間中に適合性を見極める事が可能となるわけです。
万一、その期間に見極めが出来なければ、就業規則に『試用期間の延長』の条項を入れる事で、さらにス3ヶ月程の見極め期間を伸ばす事が出来る様になります。

ただし、常識的に考えて、長すぎる期間を設定することは、当然に好ましくはありませんが・・・・
そこは、いわゆる、『社会通念上相当』と言える範囲に抑えて下さいね。
期間満了時までに『業務に不適合』との判断を下したならば、当然に期間満了による退職となり、解雇のリスクはなくなるわけです。
では、『期間満了』が使えない今回の場合はどうなったか?と申しますと・・・・・

本人の成績不振による業務不適合と判断される為、試用期間満了1週間前に退職勧奨という形での面談を行いました。
本人との話し合いの場では、会社の望んでいた従業員像、それに対する本人の試用期間中の業務内容と成績、それらを通じ本採用としては受け入れ難い旨をお話ししました。
退職勧奨というのは、解雇の様な会社側からの一方的な本人への『辞めて下さい!』との通告ではなく、本人合意をとる退職依頼の領域です。
従って退職届も書いてもらいますし、退職の合意書にも署名してもらいます。

本人の性格もあり、闘争的な雰囲気にはならず、穏やかに話の内容を聞いてくれました。
お話をして驚いたことは、あまり自分の行ってきたことについて、周りの方の迷惑になっているという認識が乏しい事でした。
会社として、今まで行ってきた本人に対しての指導や配慮、部内の一員としての本人責任についてお話をしたところ、『分りました』とのお返事を戴き、試用期間満了時での退職届の提出の約束を戴きました。

これを聞いた皆様の中には
『なんだ、何ら問題なく、簡単に解雇できるじゃない』・・・・と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、実はこの前段として、会社は過去3ヶ月の本人の業務の一覧を作り、いつどのような支障があったか、さらに部内の他の従業員のフォローアップの状況等をまとめてから、この面談に望みました。

人によっては強固に対抗的になられる方もあります。                            
説得をする為には過去の事実の積み重ねである資料に、とても重要な意味が有ります。
本来は、問題が生じた毎に、始末書や顛末書、反省文などに記載させて、今後の改善のための取り組み方を本人に書面で残してもらう事が大切です。
会社としての繰り返しの指導経緯があって、それでも改善されない場合に、初めて本人の『成績不良による解雇』が可能となるからです。
不当解雇とされた場合に、解雇の根拠を証明しなくてはいけないのが会社側の責任ですので・・・

今回はそれらの資料を積み重ねて来ていなかった為、事後的に用意をしました。
ただし、これらは3ヶ月という限られた期間であったからこそ出来たともいえます。
結果としては、これら資料を使う事もなく、本人の性格も相まって、いわゆる円満退職に至った事は、会社側に立つ社労士としては『ほっ』としたところでした。

今回の成績不良による解雇の場合 ≪普通解雇≫ の会社側の行うべき事をおさらいしましょう。
1.問題が生じる度に、指導をして反省文等の今後の本人意向を記載させた書面を残す事
2.解雇ではなく、本人の合意を取り付ける為に交渉を行う事 ≪退職勧奨≫
3.そして、最後の最後に『解雇』・・・30日前の解雇予告か、30日分の解雇予告手当が必要です。

次回も解雇について考えてみましょう。

労働基準監督署、従来未監督の小規模製造業への指導を積極化

大田労基署では、これまで監督から外れていた50人以下の製造業、道路貨物運輸業、小売業に対する監督指導を積極化している。この「安全衛生総点検運動」は「安全衛生総点検票」を対象企業に送付し、安全衛生管理体制、危険・有害業務の管理、健康診断の実施状況などのチェックを求め、違反の改善を促すもの。

特に30人以下の小売業には呼び出しによる個別指導を行うこととなる。労働時間や割増賃金、就業規則、年次有給休暇等の労働条件関係を重点的に調べる。また、製造業編として「有機溶剤、特定化学物質の作業主任者の選任、特殊健康診断の実施」さらに「フォークリフト操作に当たる有資格者の在籍」を確認する。

道路貨物運送業編では、「ヘルメットの着用など荷台からの墜落防止策」、さらに「運転者の睡眠時間・休憩時間に配慮した適正な運行計画」等、労災につながる長時間労働などを重点に是正を進めていく方針といえる。

今年度中の点検票分析により、来年度以降の監督指導方針へ反映させるとしている。

雇用促進税制は、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に

始まる各事業年度において、雇用者(一般被保険者)を5人(中小企業は2人)

以上増やし、かつ、その増加割合が10%以上などの要件を満たす企業に、増や

した雇用者1人当たり20万円を税額控除するものです。

 

 平成23年4月1日から開始した事業年度で雇用促進計画を提出している場合、

事業年度が終了する平成24年3月末から2か月以内に、雇用促進計画の達成状

況報告をハローワークまたは都道府県労働局に提出する必要がありますが、達成

状況報告の確認には4、5月は約1か月程度かかることが予想されます。確定申

告期限(通常5月末)に間に合うよう、できるだけ早めの提出をお願いします。

 

 また、平成24年4月1日から開始する事業年度で雇用促進税制の適用を受ける

場合は、まず雇用促進計画を事業年度開始後2か月以内に、ハローワーク等に提出

してください。

 

 このほかにも要件がありますので、以下のホームページのパンフレットなどを

ご確認ください。

 

  http://krs.bz/roumu/c?c=6518&m=41142&v=63851ee3

 

 雇用促進計画の詳細については本社・本店を管轄するハロ-ワークまたは都道

府県労働局(職業安定部)に、税額控除制度については最寄りの税務署にお問い合

わせください。

 

参考文献 : 厚生労働省ホームページ

 

労災保険に関して4月1日から、保険料率の改正(平均で0.6/1000の引き下げ)と、

災害発生率に応じて保険料を増減する「メリット制」適用対象の拡大を行いました。

 

1 労災保険の料率などの改定

 労災保険(労働者災害補償保険)とは、業務災害や通勤災害に遭った労働者

またはその遺族に必要な保険給付を行う制度で、保険料は事業主が全額負担

することになっています。

 労災保険の保険料は、事業主の皆さんが1年間に労働者に支払う賃金の総額

に一定の料率を掛けて算出します。料率は55に分類した業種別に設定されてお

り、3年おきに改定しています。

 改定時期に当たる平成24年度から、以下のように料率を改定します。全業種

平均では4.8/1000となり、現行の料率から0.6/1000の引下げになります。

※詳細は下記リンク(1)参照

 

 引下げ:35業種  据置き:12業種  引上げ:8業種

 

 また、一人親方などの第二種特別加入保険料率や労務費率も、その一部を改

定します。

※リンク(2)、(3)参照

 

 ●詳細はこちらをご覧ください。

 (1) 平成24年度からの労災保険の料率表

  http://krs.bz/roumu/c?c=6495&m=41142&v=2a1d615c

 (2) 一人親方などの特別加入保険料率表

  http://krs.bz/roumu/c?c=6496&m=41142&v=1ff0d70f

 (3) 平成24年度からの労務費率表

  http://krs.bz/roumu/c?c=6497&m=41142&v=ba7b4701

 

2 労災保険のメリット制の改正

 労災保険のメリット制とは、事業場ごとの労働災害の発生状況に応じて、労災

保険の料率・保険料を増減することで、事業主の皆さんが労働災害防止に取り組

む意欲を高めることを目的とした制度です。

 今回の改正は、建設業と林業について、メリット制の対象となる要件を緩和す

るもので、事業主の皆さんの災害防止努力によって労災保険料が割引きとなる事

業場が拡大します。詳細は下記リンクをご参照ください。

 

 ●詳細はこちらをご覧ください。

(1) メリット制の概要

   http://krs.bz/roumu/c?c=6498&m=41142&v=5820281e

(2) 平成24年度からの改正内容

   http://krs.bz/roumu/c?c=6499&m=41142&v=fdabb810

 

参考文献 : 厚生労働省ホームページ

 

経済的な事情から労働者を解雇せざるを得ない事業主に対し、厚生労働省では

労働移動支援助成金(求職活動等支援給付金・再就職支援給付金)を通じて支援

してきましたが、平成24年4月1日以降、制度改正する予定です。

 

 ※この内容は、平成24年度厚生労働省予算案の成立後に正式決定となります。

 ※いずれも、今年3月31日までに離職した労働者については、4月以降も現行

  の制度が適用されますので、ご留意ください。

 

■求職活動等支援給付金:廃止

  ○制度の概要

   事業規模の縮小により、離職を余儀なくされる労働者に求職活動などのた

   めの休暇を与えた事業主に対し、助成金を支給。

 

■再就職支援給付金:対象要件の追加、高年齢者についての助成率の変更

  ○制度の概要

   離職を余儀なくされる労働者などについて、民間の職業紹介事業者に再就

   職支援を委託し、再就職を実現させた中小企業事業主に対し、助成金を支

   給。

 

  ○改正内容

   (1)対象事業主の要件に、「求職活動などのための休暇を与えその休暇

      日に通常支払う賃金の額以上を支払ったこと」を追加。

 

   (2)55歳以上の高年齢者の再就職支援については、助成率を1/2から2/3

      に引き上げ。

 

  ☆詳しくは、以下をご覧いただくか、最寄りのハローワークまたは都道府県

   労働局にお問い合わせください。

 

 【労働移動支援助成金について】

  http://krs.bz/roumu/c?c=6395&m=38982&v=d6dec929

 【助成金の制度改正について】

  http://krs.bz/roumu/c?c=6396&m=38982&v=e3337f7a

 

参考文献 : 厚生労働省ホームページ

依然として厳しい経済状況が続いていますが、従業員の雇用ができる限り、維

持されるのが望ましいことは言うまでもありません。

 

 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)では、いわゆる「雇止め」(期間

満了後、契約を更新しないこと)が従業員の生活に大きな影響を与えかねません。

 

 裁判例によれば、期間の定めのない契約と実質的に変わらない場合や、反復更

新の実態、契約締結時の経緯などから、引き続き雇用されることへの従業員から

の期待が合理的であると認められる場合は、雇止めが認められないことがありま

す(いわゆる「雇止め法理」)。

 

 とりわけ年度末(3月末)にかけては、契約期間が満了となることの多い時期

でもあり、事業主の皆さまには、慎重にご対応いただき、従業員の生活の安定に

ご配慮くださいますようお願いいたします。

 

【有期労働契約に関する裁判例(パンフレットP4、5をご覧ください)】

  http://krs.bz/roumu/c?c=6108&m=38982&v=cbcf3dc2

 

【有期労働契約の在り方について】

 有期労働契約の適正な利用のためのルールを明確化していく必要が高まってい

ることから、労働政策審議会は昨年12月26日に、厚生労働大臣に対し、有期労

働契約の在り方について建議を行いました。

 

 <建議の主なポイント>

 ○ 有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応

  有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出によ

  り期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入することが適当。

 ○ 「雇止め法理」の法定化

  「雇止め法理」の内容を制定法化し、明確化を図ることが適当。

 ○ 期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消

  有期労働契約の内容である労働条件については、職務の内容や配置の変更の

  範囲等を考慮して、期間の定めを理由とする不合理なものと認められるもの

  であってはならないこととすることが適当。

 

 厚生労働省では、この建議を受けて、労働契約法の改正法案の提出に向けて検

討を進めているようです。

 

参考文献 : 厚生労働省ホームページ

 

企業の人事・労務担当の皆さまの労務管理に役立つよう、賃金の額

や支払い方などのルールについて解説します。

 

(1)賃金額についてのきまり

・賃金は、労働者の生活の柱となるものです。そのため、景気や求人の状況に

 よって低くなりすぎ、生計の維持が困難になるのは防がなければなりません。

・そこで「最低賃金法」によって、使用者が支払わなければならない賃金の最

 低限度額が定められています。最低賃金は都道府県ごとに決まっていて、例

 えば東京では時給837円です(平成23年12月現在)。

・たとえ、労働者が最低賃金より低い時給で働くことに同意したとしても、そ

 の契約は法律によって無効となり、最低賃金額と同額の契約をしたとみなさ

 れます。

 

(2)支払い方についてのきまり

i)通貨払いの原則:賃金は現物(会社の商品など)ではなく、現金で支払わ

  なければなりません。ただし、労働者の同意があれば、銀行振込みなどの

  方法をとることができます。

ii)直接払いの原則:賃金は成年・未成年にかかわらず、労働者本人に支払わ

  なければなりません。

iii)全額払いの原則:賃金は全額まとめて支払わなければなりません。「積立

  金」などの名目で、強制的に賃金の一部を控除(天引き)して支払うこと

  は禁止されています。ただし、所得税や社会保険料など、法令で定められ

  ているものの控除は認められています。

iv)毎月1回以上定期払いの原則:賃金は毎月1回以上、期日を定めて支払わ

  なければなりません。そのため、2か月分をまとめて支払ったり、「毎週

  第4金曜日」など変動する期日としたりすることは認められません。ただ

  し、臨時の賃金や賞与(ボーナス)は例外で、定期払いの原則は適用され

  ません。

 

<一歩進んで>

 ☆制裁規定の制限(労働基準法第91条)

  労働者が職場の秩序を乱したり、規律に違反したりしたことを理由に、制

 裁として賃金の一部を減額することを減給といいます。1回の減給金額は、

 平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、複数回の規律違反を

 したとしても、減給の総額が1回の賃金支払期における金額の10分の1以下

 でなくてはなりません。また、減給の制裁を行うには、あらかじめ就業規則

 で定めておく必要があります。

 

 ☆休業手当(労働基準法第26条)

  使用者の責任で労働者を休業させた場合には、使用者は平均賃金の6割以

 上の休業手当を支払わなければなりません。

参考文献 : 厚生労働省ホームページ

このコーナーでは、人事労務に関するトピックスをご紹介します。

経済ニュースや厚生労働省、経済産業省などからのお知らせなど、

経営者の方々にとって分かりにくい大切な情報を不定期に解説します。

知っていると驚くほど有利な情報や、ぜひお伝えしたい裏話など

出来る限り公開していきますので、ご利用ください。