
企業の人事・労務担当の皆さまの労務管理に役立つよう、賃金の額
や支払い方などのルールについて解説します。
(1)賃金額についてのきまり
・賃金は、労働者の生活の柱となるものです。そのため、景気や求人の状況に
よって低くなりすぎ、生計の維持が困難になるのは防がなければなりません。
・そこで「最低賃金法」によって、使用者が支払わなければならない賃金の最
低限度額が定められています。最低賃金は都道府県ごとに決まっていて、例
えば東京では時給837円です(平成23年12月現在)。
・たとえ、労働者が最低賃金より低い時給で働くことに同意したとしても、そ
の契約は法律によって無効となり、最低賃金額と同額の契約をしたとみなさ
れます。
(2)支払い方についてのきまり
i)通貨払いの原則:賃金は現物(会社の商品など)ではなく、現金で支払わ
なければなりません。ただし、労働者の同意があれば、銀行振込みなどの
方法をとることができます。
ii)直接払いの原則:賃金は成年・未成年にかかわらず、労働者本人に支払わ
なければなりません。
iii)全額払いの原則:賃金は全額まとめて支払わなければなりません。「積立
金」などの名目で、強制的に賃金の一部を控除(天引き)して支払うこと
は禁止されています。ただし、所得税や社会保険料など、法令で定められ
ているものの控除は認められています。
iv)毎月1回以上定期払いの原則:賃金は毎月1回以上、期日を定めて支払わ
なければなりません。そのため、2か月分をまとめて支払ったり、「毎週
第4金曜日」など変動する期日としたりすることは認められません。ただ
し、臨時の賃金や賞与(ボーナス)は例外で、定期払いの原則は適用され
ません。
<一歩進んで>
☆制裁規定の制限(労働基準法第91条)
労働者が職場の秩序を乱したり、規律に違反したりしたことを理由に、制
裁として賃金の一部を減額することを減給といいます。1回の減給金額は、
平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、複数回の規律違反を
したとしても、減給の総額が1回の賃金支払期における金額の10分の1以下
でなくてはなりません。また、減給の制裁を行うには、あらかじめ就業規則
で定めておく必要があります。
☆休業手当(労働基準法第26条)
使用者の責任で労働者を休業させた場合には、使用者は平均賃金の6割以
上の休業手当を支払わなければなりません。
参考文献 : 厚生労働省ホームページ
