
依然として厳しい経済状況が続いていますが、従業員の雇用ができる限り、維
持されるのが望ましいことは言うまでもありません。
期間の定めのある労働契約(有期労働契約)では、いわゆる「雇止め」(期間
満了後、契約を更新しないこと)が従業員の生活に大きな影響を与えかねません。
裁判例によれば、期間の定めのない契約と実質的に変わらない場合や、反復更
新の実態、契約締結時の経緯などから、引き続き雇用されることへの従業員から
の期待が合理的であると認められる場合は、雇止めが認められないことがありま
す(いわゆる「雇止め法理」)。
とりわけ年度末(3月末)にかけては、契約期間が満了となることの多い時期
でもあり、事業主の皆さまには、慎重にご対応いただき、従業員の生活の安定に
ご配慮くださいますようお願いいたします。
【有期労働契約に関する裁判例(パンフレットP4、5をご覧ください)】
http://krs.bz/roumu/c?c=6108&m=38982&v=cbcf3dc2
【有期労働契約の在り方について】
有期労働契約の適正な利用のためのルールを明確化していく必要が高まってい
ることから、労働政策審議会は昨年12月26日に、厚生労働大臣に対し、有期労
働契約の在り方について建議を行いました。
<建議の主なポイント>
○ 有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出によ
り期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入することが適当。
○ 「雇止め法理」の法定化
「雇止め法理」の内容を制定法化し、明確化を図ることが適当。
○ 期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消
有期労働契約の内容である労働条件については、職務の内容や配置の変更の
範囲等を考慮して、期間の定めを理由とする不合理なものと認められるもの
であってはならないこととすることが適当。
厚生労働省では、この建議を受けて、労働契約法の改正法案の提出に向けて検
討を進めているようです。
参考文献 : 厚生労働省ホームページ
